アニメ感想

芸術的なまでの脚本力 「オッドタクシー」アニメ感想

アニメ感想
© P.I.C.S. / 小戸川交通パートナーズ

どうも、筆者のクロです! 今回はテレビアニメ「オッドタクシー」を視聴した感想を語ろうと思います。なお、この作品は映画「オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」の最終盤にて真の結末が描かれているため、映画の評価も含めての総合的な評価となりますので、ご了承ください。

序盤はネタバレなし感想を語りますが、途中からネタバレあり感想を語っていきますので、オッドタクシーを一通り視聴されてから記事をご覧になることを推奨します。それでは感想いってみましょう!

ネタバレなし感想

あらすじ

平凡な日々を過ごすタクシー運転手・小戸川。身寄りがなく、他人ともあまり関わらず、少し偏屈な無口物。そんな彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。何でもない会話を聞きながら人々を運ぶ彼だが、その会話がやがて失踪した1人の少女へ繋がっていき…?

U-NEXTより引用

本作品はP.I.C.S.によるオリジナルアニメ作品で、原作はP.I.C.S.
監督は木下 麦、制作はP.I.C.S.、OLM Team Yoshioka
ジャンルはミステリ

登場人物が全員擬人化した動物という独特な世界観であり、少し尖ったキャラデザも相まって初見の印象は好みの分かれるものとなっています。私も昔この作品を知った時はそこまで興味が湧かず、これまでスルーしていました。

しかしこうして見終わった今ならはっきり言えます。好き嫌いせずいいから見ろ!とねw
あらすじ通り、最初は平凡なタクシードライバーの小戸川と乗客の他愛のない会話が繰り広げられ、地味な展開が続きますが、その何気ないやり取りがやがて一つの事件に繋がっていくという、とても濃厚芳醇なミステリーを味わうことができます。

そしてこの作品の素晴らしいポイントはミステリー要素だけでなく、会話劇の魅力もその一つとなっています。序盤は地味な展開が続くと言いましたが、乗客と小戸川のやり取りを中心に展開される会話劇は独特のキレとセンスがあり、自然な流れで漫才じみた面白さを滲みだすのです。それが無理のないギャグ演出として成立しており、思わず笑ってしまえるほどキャラクターの会話を楽しめるものとなっています。私はこういったわざとらしさの無い自然な形で展開されるギャグ演出が大好きなので、序盤からずっと面白く見れていました。

後半は怒涛の展開の連続でハラハラドキドキさせつつ、最後は衝撃的な事実が明らかとなり、驚きと意外性に溢れたものとなっています。詳細はネタバレあり感想で語りますが、ストーリーの完成度がとにかく高く、複雑な展開を見事にまとめ上げており、複線回収も実に見事な素晴らしい一品だと思いました。

しかし注意点もあります。この作品はテレビシリーズを見るだけでは物語の結末を最後まで見ることはできません。結末を最後まで追うには、映画「オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」を観る必要があるのですが、この映画は2時間程の総集編となっており、終盤の残り8分辺りがその真の結末を描いた部分となっているのです。

これが少々面倒な部分ではあるのですが、本編の複雑なストーリーを整理しっつちゃんと結末を見届けたい方にとっては丁度良い作品だと思います。公開当初は追加要素があまりに少なくて映画館で観る程の価値は無い、といった感じの不評をよく耳にしました。私は配信でサラッと観れましたが、確かに映画館まで行ってお金を払ってまで観たいとは思えない内容ではありましたね・・・w ストーリー自体は本当に良かっただけに少しもったいないと感じてしまいます。配信で手軽に観られるこの時代に感謝ですね。

※以下ネタバレ注意

ネタバレあり感想

                             © P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ

オッドタクシーの魅力は様々ありますが、一番伝えたい魅力はやはりそのストーリー構築の凄まじいまでの緻密さと質の高さです。すべての流れが絶妙に計算されており、この脚本力の高さはもはや芸術の域に到達しているとすら感じてしまうレベルです。

人々に注目されたくて必死にバズろうとする樺沢、冴えない自分から脱却したくてマッチングアプリで嘘の経歴を使ってまで女子大生と付き合う柿花、剛力が営む個人病院から薬をヤクザに横流しして借金を返そうとする白川、そのヤクザ本人であり、小戸川を脅して無理やりシノギの協力を迫るドブ、アイドルグループ「ミステリーキッス」のファンであり、宝くじで10億を当ててしまった今井、ミステリーキッス」のマネージャーであり、小戸川から監視カメラのデータを買い取ろうと狙う山本、くだらない私怨で小戸川に憎悪を抱き暴走する田中、他にも挙げだしたらキリがないのですが、こういった様々な登場人物が様々な思惑の中で行動するのですが、一見何の関係もなさそうな行動や出来事すらも、やがて2021年10月4日に起こった女子高生失踪事件を巡る一連の騒動に向かって収束していく。

こういった一見関連性の無い出来事がストーリーの本筋に向かって収束し、繋がっていく展開が私は大好物で、ストーリーを追えば追うほどその上質に練られた怒涛の展開にどんどんのめりこんでいきました。

そして終盤には、主人公である小戸川の衝撃の秘密がついに明らかとなります。ここまでオッドタクシーを見てきたおそらく全ての人が当たり前のように受け入れていた、擬人化した動物ばかりで人間が一人も出てこないこの世界観。それが実は小戸川が幼い頃に母が車で埠頭に飛び込む形で起こした一家心中に巻き込まれた際、脳のダメージで発症した視覚失認によってもたらされた認識の歪みだったということが判明するのです。

その事実を察した瞬間のゾクゾクとしたあの気持ちは本当にたまらなかったですねw こういう今まで当たり前のように受け入れていた設定や世界観を根底から覆す衝撃展開も私は大好物です。大好物な要素多いですねw

一連の騒動を乗り越えた後、小戸川は再び人を人として認識できるようになり、真実が世間に表沙汰となってめでたし・・・となるところで、まだ明らかとなっていなかった、失踪した女子高生もといミステリーキッスのメンバーだった本物の三矢を殺した真犯人、和田垣が口封じのために小戸川のタクシーに乗り込んだところで、テレビシリーズは一旦終わってしまうのです。

ここからは映画「オッドタクシー イン・ザ・ウッズ」の感想になりますが、簡単にまとめるなら前半はインタビュー形式での本編振り返り、後半は本編映像を一部カットしながら映した、所謂総集編となっています。映画館でやってた時に観に行ってたら不満は大きかったでしょうが、配信で観る分にはコストはかからないので、本編の複雑なストーリーを再度振り返りつつ、結末を見届けられるという点で悪くない総集編だと思いました。

そして肝心の結末なのですが、これが数分程度しか描写されず、あっさりと終わってしまったので少し理解しにくく感じました。内容としては、和田垣の小戸川殺害は結果的に失敗に終わり、和田垣は殺人未遂容疑で逮捕(実は襲われていたところを柿花が助けに入ったことが後のシリーズで明かされているとのこと)。その後白川と小戸川が動物園にデートに行ったところで終わりました。

ハッピーエンドで終わってくれて正直ホッとしたが、正直殺人未遂のくだりがあっさりとしすぎていて事件が全て終わった実感を得にくかったのが少々気になりました。柿花が助けてくれる描写も普通に描いてくれても良かったんじゃないかと個人的には思うのですが、それでも全てが綺麗に終わってくれたので、その点においてはとにかく良かったの一言に尽きます。

まとめ

独特の世界観によって繰り広げられる鮮やかな会話劇、複線回収、心理描写、そして衝撃のどんでん返し。近年のアニメと比べても稀に見る、美しく芸術的とすら感じさせるストーリーの完成度にひたすら圧倒される作品でした。

欲を言えば映画で観られる物語の結末もテレビシリーズでまとめて流して、もう少し丁寧に結末を描写して欲しかったというのはありますが、それでも綺麗なハッピーエンドで終わってくれたので総合的な満足度は相当高いものになりました。個人的にはヤノと大門弟が良いキャラしていて好きでしたね。ドブも悪い奴ではあったけど意外と面倒見の良い一面などもあって良いキャラだったと思います。感想では触れられませんでしたが、お笑いコンビの「ホモサピエンス」の2人も良い味を出しているキャラなので、その点も注目して欲しいところです。というか主要キャラ全員しっかりと魅力があって面白いんですよねw

個人的評価としては★×5とさせて頂きます! 最高評価にはあと一歩届かないといった感じでしたが、私の感覚では★×5もアニメの全体的なクオリティが相当高くないと与えられない評価なので、かなりお気に入りの作品だったという認識で大丈夫です(前回の記事ではあっさりと与えましたが、★×6評価なんて本来そう簡単に与えられるもんじゃないですw それにあくまでただの一般個人の評価なので、未視聴の方は本当に参考程度に認識していただければ幸いです)。いずれブログの紹介記事を書く際に六段階評価のざっくりとした評価イメージを伝えたいところですね。

正直この感想記事ではまだまだオッドタクシーの魅力を伝えきれていないので、まだ見ていないけど記事を全て読んでくださっている酔狂な方々は、是非とも本作を実際に見て味わってください!

本当に面白い物語に出会えた時、それは私たちの心を、そして人生をより豊かにしてくれます。まだ見ぬ最高の物語を求め、共に探していきましょう! じゃあ・・・また!!!

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